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Research 研究紹介

パウダージェット加工技術

本研究室では、粒子噴射(パウダージェット)技術の加工への応用展開を強力に推進している。すなわちサブμmから数10μm直径粒子の①精密定量供給技術並びに噴射技術、②精密分級分散技術、③粒子製造・複合化技術を駆使し、超精密加工分野のブレークスルーを目指す。

  • 遊離砥粒加工(超精密非球面研磨、マイクロ超音波加工、マイクロAJM、光触媒レーザナノ加工等)
  • 固定砥粒加工(ラッピングテープ加工、精密分級分散極微粒ダイヤモンド砥石等)
  • 周辺技術(加工液ミスト供給、油性・水性加工液混合供給、マイクロバブル供給等)

またパウダージェット加工技術は超精密加工などの除去加工のみならず、付着加工への応用展開、さらには医療やバイオ等の異分野への広範囲な応用も期待できる

  • 厚膜形成(パウダージェットデポジション、セラミックス厚膜、金属厚膜形成等)
  • 精密塗布(精密接着、レジスト均一膜厚制御、超微少量潤滑剤供給、微粒子導電膜、誘電膜製造等)
  • 医療(歯質の再構築、バイオインターフェース、インプラント、人工骨応用分野、ナノメディスン等)

除去から付着まで パウダージェット加工

除去加工(アプレイシブジェット加工:AJM)

高速ガス流により加速されたサブμm~数10μmの微粒子を小径ノズル(内径0.1~1mm)から噴射させ、硬脆材料に高速かつ高密度で衝突させることにより微細加工を行うものである。本研究室では、微粒子を約100Hzで間欠的に、微小量を定量噴射することができる新しい噴射原理を考案した。この方法によりガラスなどの硬脆材料への高能率除去加工やマスクレスパターン加工が可能となった。
また、微粒子の代わりに超純水の氷を用いたマイクロアイスジェット加工法を開発した。これにより半導体の層間絶縁膜の選択的加工や、基板の洗浄、ビアのデスミヤなどへの適用が検討されている。
さらに、歯科用微粒子の噴射を高精度に制御することのできる歯科用デジタル式アブレイシブジェット装置を開発した。これにより正常象牙質に影響を及ぼすことなく、齲蝕象牙質(虫歯)のみを選択的に除去する非接触無痛治療法や、歯質を痛めずに歯面に固着したプラークを非接触で効果的に取り除く口腔清掃法へ適用が始まっている。

マイクロアブレイシジェット加工装置
※本実験により2003年文部化学大臣賞研究功績者表彰を受けました。

付着加工(パウダージェットデポジション:PJD)

微粒子の高速衝突による新しい材料付着技術(Powder Jet Deposition: PJD)を開発した。従来の成膜法とは異なり、常温常圧で厚膜の生成が可能な点が大きな特徴で、新しい機能性インターフェイス創成技術として注目されている。本手法は車載用リチウム2次電池用シリコン負極電極形成や、未来の歯科治療や予防歯科、審美歯科治療への応用研究が進んでいる。

除去加工から付着加工への遷移

未来の歯科治療を目指して 生体・バイオマテリアル高機能インターフェイス創成

パウダージェット加工の歯科医療への応用が検討されている。微粒子噴射による付着現象を利用して、室温大気圧環境下でハイドロキシアパタイト(HA)微粒子を、人歯表面(エナメル質)に高速で衝突させることにより、HA厚膜を成膜することに世界で初めて成功した。本手法は、新しい歯質の再構築を可能にするもので、虫歯治療や予防歯科、さらには審美歯科治療の分野において、従来の歯科治療を根本から変える技術として注目されている。